なかなか寛解しなくて焦ってもしかたないので当時の書き殴ったのがでてきたので晒すよ (2013/04記)

契約しているdocomoが丸2年たったのでMNPしようと考えている。。
 携帯端末好きな僕は普段だったら解約金なしでMNPできる「実弾」として 大喜びの僕だけどこの回線だけは迷っている。
なぜなら2年前ヨメノヒトが入院してもネットが使えるようにと 契約したPocket Wifiの回線だからだ。
2011年の3月に検査結果が良くなくて専門の病院で再検査を受けたけど 検査結果はやっぱりNGだった。そう病名は「癌」だ。
その話を義父さんと義母さんに話をしたときの なんともいえない驚きと悲しみが混じった表情は今でも忘れられない。
「あんた厄年だねぇ。お祓いいかんと。」とうちのおかんからいわれた。
 確かに僕は厄年だったけど本当の災難はヨメノヒトであり、義父さん、義母さんだろう。 あと、お犬様も。
病院で入院の手順を聞いて準備をしないと。
 個室だとPCや携帯電話の持ち込みも問題ないと知って「ネット使えるようにして欲しい」と。
iPhoneだけでなくPCを利用したいとの事。
ヨメノヒトのPCは 17インチ液晶のいわゆる「デスクノート」で大きすぎる。
バイルPCでも買う?と聞いたら「今使っているのを持っていく。」と即答。
 その時の僕は「相変わらずケチだなあ。」くらいにしか思ってなかった。

でも僕は「今使っているもの。」に意味があった事に気付いたのは後からだった。

大急ぎでいろんな準備をしていよいよ入院する事に。
ちいさな車に荷物を押し込んで病院に。
何故か手違いで個室ではなく大部屋に通されて御不満(あたりまえ) 荷物を降ろして先生から説明を聞いた。
 標準で6泊7日。経過がよければ5泊6日で退院だという事を教えてもらった。
ヨメノヒトに「もう帰ってええで。」と言われて家に帰る僕。
 「明日も来るわ」といってスゴスゴと帰ったよ。
 その夜、なんとか空き部屋を確保してもらえて個室に移動したと言う事を ヨメノヒトのtwitterで知った。

翌日様子を見に行くとPCを広げてネットやSNSをしていた。
入院という非日常的な空間で出来る限り日常的にしているヨメノヒト。
 入院、手術という非日常的な事なんだから非日常らしくしてればいいのにと 思ったけどそれは間違いだった。
きっと頭の隅っこに湧きでる恐怖を消す為にできるだけ日常でいようとしているのだ。と。
その日常演出が過剰すぎてtwitterでつぶやき倍増してましたけどね。

人は不安になるとなにかしらの「よりどころ」を求める。 その拠所が普段通りのtwitterのつぶやきだったんだろう。
フォロワーさんからの「入院しているとは思えない」の言葉は ヨメノヒトの大きな力になったんだと思う。

一通りの検査が終わって手術当日。
 「ほな行ってくるわ。」「きいつけて。」とまるで友達の家に 出かけるかのような日常的な会話をして手術室につれていかれるヨメノヒト。


数時間後…。


先生が手術が無事終了して成功した事を伝えに来られた。
 僕はほっとした。
 なんか大げさなエプロンと手袋をつけさせられて手術室に入れてもらった。 切除した癌細胞をみせてもらう為だ。なんかパチンコ玉くらいのしこりが1つ。 仁丹くらいのしこりが2つ。これが癌細胞らしい。手袋越しに触ってみると固い。
先生曰く思っていたより大きいので普段から違和感があったはずといっておられた。

手術室を後にして大げさなエプロンと手袋を脱いで病室に戻った。
ほどなくして看護婦さんが現れてヨメノヒトが麻酔から醒めたのでつれてくるとの事。 ストレッチャーにのせられて、だるそうにしているヨメノヒトがベッドに戻された。
勿論手術痕は痛いけど意識はしっかりしているみたいだ。
 開口一番「携帯電話とって」と僕に指示する。 「なんで?」と聞いたら「実家に連絡する」と。
その会話を聞いてた看護婦さんが 「手術の終わった今日は携帯もパソコンも禁止です!」と 小学生がNintendo DSで遊んでは駄目といわれてるみたいに怒られた。

僕がヨメノヒトの実家に電話して手術の成功を伝えたけど、 きっとこれもヨメノヒトにとって非日常と感じるので 自分で電話をしたかったのだろう。

やはりしんどいのだろう(あたりまえ) ヨメノヒトは眠ってしまったので病院を後にして家に帰った。 さすがにその日の夜はヨメノヒトのtwitterが呟かれる事はなかった。

翌日病室にいくといつものようにPC開けてネットするヨメノヒトがいた。
 まだ手術痕には管が残っており痛々しい。 そんなヨメノヒトが「明日退院するし。14:00に迎えにきて」と。
予定ではもう一日入院してないといけないはずなのに…。
なんでも先生と示談して退院を予定より一日早めてもらったようだ。 ヨメノヒトの非日常の排除は徹底している。
しかし、本人がそう言っているので異論はない
。 この日は、決意を表すかのようにヨメノヒトは退院ツイートをしていた。
 やっぱり退院がうれしいのだろうつぶやきも倍増状態だった。

翌日お迎えの日はあいにく小雨がふっていたけど予定通りに部屋を引き払って 預けていたお犬様を迎えにいって家に戻ってきた。 結局、気合い(?)で4泊5日の入院生活だった。

まだまだ患部も痛んで、管も付いたままだけどヨメノヒトの日常が戻ってきた。

 

 

そして今日。2年経って、新しいお犬様も迎え入れて手を焼きまくっている。 これが僕らの今の日常だ。

人は残念ながら何かに頼らないと生きていけない弱い生き物だ。 特に日常が大きく崩れ去ると、人の心も大きく崩れ去る。 心が崩れ去らないように、ヨメノヒトは日常的な事に拘っていたんだと ようやく理解できた気がした。